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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

雨の日に行きたくなるホテル そして、飲みたいコーヒー

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こんなものすごい雨の日に行きたくなるのは

マレーシア・ペナン島

「シャングリラ・ラサ・サヤン」。

改装前のちょっと「さびれ系」がかかった頃の方が

わたしは好きだったのだけれど、ちょっと残念。

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庭には大きなレインツリーの木があり

うっそうと茂った枝の下にいると

スコールでも雨に濡れない。

霧雨なんかはきらいだが、

スコールは大好きなわたしだ。

 

そして、

こんな雨の日に飲みたくなるコーヒーは

ちょっとローストが強めのキリマンジャロ

時間をかけてこっくりと淹れ

43%の生クリームを入れたもの。

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ミケランジェロにらめっこしながら

雨の日のコーヒーブレイク。

 

*「シャングリラ・ラサ・サヤン・リゾート&スパ」の写真は同ホテルの公式サイトからお借りました。

英国一のお金持ちがオーナーのホテル、ロンドンの「ラッフルズ」

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ホテルのオーナーという立場は

世のお金持ちの心をいたくそそるもののようで

古今東西、お金を手にし、それなりの地位を得た人々は

その仕上げとでもいうように

ホテルを手に入れようとする。

そのホテルが由緒ある名門ホテルだったりすると

いうことはない。

 

かのトランプ大統領とて、

単なる不動産ディベロッパーではなく

ホテルのオーナーということが

イメージアップの助けになったと思われる。

 

さて、

ラッフルズ」を傘下にもつアコーホテルズが

ロンドンの「ジ・オールド・ワー・オフィス」ビルを

ラッフルズ」ブランドのホテルにすべく契約を結んだ。

1906年に建てられたこのビルは

ダウニング街十番地(英国首相官邸)や国会議事堂にも近く

かつてはウィンストン・チャーチル卿のオフィスもあった

由緒あるランドマーク的建物。

 

このビルを3億ポンド(約430億円)でポンと買ったオーナーとは

ロンドンに本社があるインド系コングロマリッド企業ヒンドゥージャ社。 

 

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 その共同会長であるスリ&ゴピチャン・P・ヒンドゥージャ兄弟は

5月に発表された「サンデイ・タイムス・リッチ・リスト 2017」によると

英国で一番のお金持ち。

 

ちなみに、ロンドンの名門ホテル「リッツ」をはじめ

「クラリッジズ」「コノート」「バークレイ」のオーナーは

ロンドンの下町ウエストエンド出身で

一代で英国第15位のお金持ちにまで登りつめた

セルフメイドマンの双子、バークレイ兄弟。

 

さらに、ちなみに、

今回の「ジ・オールド・ワー・オフィス」の

契約交渉に当たったアコーホテルズの会長トーマス・バラック氏も

なかなか一筋縄ではいかぬお方。

   ↓

chifumimurase.hateblo.jp

 

ホテルビジネス界とは、ジャングルの如し。

 

「どこのホテルに泊まってるんだね?」で墓穴を掘ったニクソン大統領

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ワシントンDCの「ウォーターゲート・ホテル」の屋上バーです。

 

 

 「どこのホテルに泊まってるのかね?」

これで墓穴を掘ったのがニクソン大統領だった .....

というのは、あくまでも映画「フォレスト・ガンプ」では、ですが。

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映画を観てない方のために書くと、

首都ワシントンのホワイトハウス

ニクソン大統領と会見した主人公に

大統領は、ホテルはどこだね?と尋ねる。

主人公が答えたホテル名を聞き、

「ノー、ノー、ノー。あんなとこはダメだ。

もっと良いところがある、出来たばかりでモダンなホテルだ。

よし、君のために部下に手配させよう」

 

そのホテルが「ウォーターゲート・ホテル」で

主人公の部屋はウォーターゲート・ビルの向かい。

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夜中、向かいの部屋の中で

懐中電灯が光って眠れない主人公は

ヒューズが飛んで停電したんだと思い、

ホテルのフロントに電話をかける。

「たぶんヒューズボックスを探してると思うんだけど

誰か人をやってもらえないかい?」

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主人公が電話を切るシーンで映しだされるのが、

ステーショナリースタンドのホテル名のロゴで、

つまり、

当時の事件を知る人がこれを見ると

「ああ、ウォーターゲート事件だな」

と思う設定。

 

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実は、その部屋は民主党党本部のオフィスで

ニクソンの指示でこっそり盗聴器を仕掛けていたのだが、

映画ではこの後、ニクソンの大統領辞任会見のシーンとなる。

 

  さて、

「どこにお泊まりですか?」

という質問は、

人によってその意味が大きくちがう。

 

ホテルジャンキーにとっては

単にこの人「どこ」のホテルを選んだのか、

そしてその選んだ理由はなんなのかを知りたい、

ただ、ただ、知りたい、という好奇心に過ぎない。

しかし、

 

ビジネスシーンでは

やんわりと婉曲なかたちでの

相手の懐具合、所属するクラスなどのお育ち、

趣味・嗜好、

ひいてはどんな人間なのかのチェックでもある。

ホテル選びは単なる寝場所選びではない。

 

選ぶホテルはその人を語る。

 

*一番上の写真は「ウォーターゲート・ホテル」の公式サイトからお借りしました。

 

「ああ、ここがホテルだったら ..... 」シリーズ 東京・丸の内編

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ここはボストン、ハーヴァード・スクエアの .....

なんて書いても

ちっとも不思議ではない空気感と佇まい。

実は、東京駅から歩いてわずか5分、

丸の内オフィス街の高層ビルの中にひっそりとある

三菱一号館美術館」。

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*上の写真は三菱一号館美術館の公式サイトからお借りしました。

 

ロンドンロンバード街を模して開発され

かつては「一丁倫敦」とも呼ばれ

この界隈にも"風情"というものがあった。

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しかし、ひとつ、またひとつと無粋なビルに建て替えられ

"風情"はまったくなくなった。

 

「丸の内一号館美術館」も

1894年、日本初のオフィスビルとして建てられたものの

1968年に取り壊されてしまった建物を

当時の設計図を元に復元したもの。

つまり、シンガポールの「ラッフルズ」と同じように

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まったく新しく建て替えられたレプリカである。

別物といえば、まったく別物。

 

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けれど、

ああ、ここがホテルだったら .....

つくづくそう思うような空間感覚、風情がここにはある。

そう思っていたら、

なんと英国人建築家のジョサイア・コンドルの作品だった。

あの、かつて鎌倉の由比ヶ浜海岸にあった

「鎌倉海浜ホテル」を設計した建築家である。 

やっぱり

 設計図に宿っている建築家の魂は

そこここの佇まいや気配に生きて残っているんだなぁ。

 

そんなことをしみじみと思いながら、

昨日から始まった

「レオナルド X ミケランジェロ展」を観てきた。

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 天才どうしのバトルがテーマのユニークな展覧会だ。

今から半世紀前、ホテルの厨房で暗殺されたロバート・ケネディ

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人目につかずにホテルで密会をしたい政治家、

あるいは

待ち受ける多くのファンの目を逃れて出入りしたい

人気スターなどがよく使う手が

厨房などバックヤードを経由して

従業員玄関や搬入口から出入りするルート。

 

今から半世紀前、1968年6月5日

ロサンジェルスの老舗ホテル「アンバサダー・ホテル」にも

そんな超人気スターが訪れていた。

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その日の夜、

アメリカ大統領予備選を地元カリフォルニアで勝ちぬいた

ボビー、ことロバート・ケネディ大統領候補が

支持者たちに向けて勝利演説を行い

会場のエンバシー・ルームは湧きに沸いていた。

 

その後、会場の裏から厨房を抜けて記者会見場に向かう途中、

ボビーは

厨房にスタッフを装って潜んでいた犯人の凶弾に撃たれた。

兄のジョン・F・ケネディ大統領の暗殺事件から

まだ5年も経っていなかった。

 

ちょうど今は6月25日発行の小誌「ホテルジャンキーズ」の

編集作業の最中なのだが、

ホテリエのしゅういち氏に元編集者のバアサンさんが

歯に衣着せぬ本音でズンズン迫る誌上バトルロイヤルが人気のシリーズ

「しゅういち VS バアサン」で次号取り上げるテーマが

サミットの際の担当ホテルの決まり方とホテルの警備について。

 

しゅういちさんから、ご自身が実際に経験されたこととして

アメリカ大統領が来訪の際には、

3ヶ月前からホワイトハウスから派遣されたスタッフが

館内を厳重で徹底的なチェックを行い、

さらには、ホテルのスタッフ全員の身元証明を提出させられるなど

アメリカのセキュリティチェックの厳重さが語られているが、

アメリカには大統領などVIP中のVIPたちが

公衆の面前で

やすやすと暗殺されてきたという

忌まわしい歴史がある。

 

仕事柄、ホテルのバックヤードの厨房を見る機会も多いが

ロバート・ケネディが暗殺されたあの夜、

「アンバサダー・ホテル」に居合わせた人々を描いた

映画「ボビー」のあのシーンをつい思い出してしまう。

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邪魔者は消せ、と存在は消せても

人の記憶は消せない。