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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

そこには「ホテルの朝食」への、深くて明るい愛がある

ホテルの朝食

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私が主宰するホテルジャンキーズクラブ(HJC)の朝食会で、日曜の朝、鎌倉のレストラン「GARDEN HOUSE」に行った。

エントランスには「Good Morning Eary Bird! 早起きさん、おはよう!」の看板があり、ホテル並みに充実した朝食メニューがある。

さらに楽しいことには「SUNDAY BRUNCH COCKTAILS サンデー・ブランチ・カクテル」のメニューも。当日は暴風雨が吹き荒れる寒い朝で、「温まるから」という良い言い訳ができてホットワインを飲んでた方もいた。

とにかく朝食の時間をゲストに楽しんでもらおうという店側の気持ちが感じられる。

 

HJCの朝食会では、いつもはホテルのレストランを利用するのだが、昨今、わざわざ朝食だけのために朝早起きして出かけてもぜひ食べたいホテルの朝食がとみに減った。

「当ホテルでは朝食を重視しております」と朝食を売り物にしているホテルはむしろ以前より増えた。が、単に料理の数だけが増えればいいというものではない(朝食好きのホテルジャンキーにとっては)。

ホテルジャンキーが愛する「ホテルらしい朝食の時間」がそこになくてはならない。

ほんとうにうるさい人たちだ、ホテルジャンキーとは(ホテルのみなさん、ごめんなさい)。

 

そこで、最近は、「ホテルよりもホテルらしさを感じられる朝食シリーズ」として、乃木坂の「ウエスト青山ガーデン店」など、高品質の「朝食の時間」(単に料理としての朝食ではない)を提供している街場のレストランでも集まっている。

 

ところで、「ホテルらしさ」って、なんなの?

あらためて考えてみると、ホテルらしい朝食とは、ホテルジャンキー的には「朝感がある」「ここちよい緊張感」というようなことなのだが、そこにはホテルならではの、純度の高い、朝という時間のさわやかさや一日の始まりのきりっとした感じの演出がなくてはならない。

 

この「朝感」をそそる料理が、私にとってはエッグベネディクトとパンケーキ。

当日の朝食会では、バターミルクパンケーキのレモン&シャンティ(ホイップクリーム)をオーダーした。一見するとふつうのサイズの薄いパンケーキが2枚なのだが、けっこう食べ応えがあってランチタイムになってもおなかが空かなかった。

 

これを見て思い出したのが、アメリカのワイオミング州ジャクソンホールの山中にある「アマンガニ」の朝食で食べたバターミルクパンケーキ。まわりをわずかにカリッとするように焼き上げ、サクッとしながらホクッとする食感で、これまで食べたパンケーキの中でもトップクラスのひとつだ。

しかし、いかんせん、量が多い。皿からあふれんばかりにパンケーキが5枚も並んで出てきた。自分でオーダーした料理を残すのはきらいなので、なんとか2枚半までがんばったが、そろそろ限界。

「ねぇ、これを全部食べる人って、いるの?」

身長が190センチくらいあるアメリカ人でも大柄なウェイター君に尋ねると目をちょっと泳がせ、

「ええっと、いないことはなくって、たま〜に、いらっしゃいますね・・・」

「オーケー、じゃあ、私はメジャーに属するってことで、残させてもらうわね。シェフにはこれまで食べたパンケーキの中で一番おいしかった、I Love it! (大好きよ!)けれど、私の体はあなたたちの半分なのって伝えて」

すると、シェフが出てきてウィンクしながら

「キミの愛はじゅうぶんに伝わったよ、ありがとう」

そこにGM(総支配人)のガイ・ヘイウッドが通りかかったので、シェフと手に手をとりあい、

「私たちね、いま愛を確認しあってたの」

ガイ、ぎょっとして目を剥き息を止めた。

 

愛は、ときに、言葉にしてちゃんと伝えたい。

 

* ホテル愛好家の集り「ホテルジャンキーズクラブ」は今年の4月で創立20周年をむかえるが、テーマ別の分科会のなかでも創立来、人気が高いのが「ホテルで朝食を楽しむ会」。ただ朝食を食べるためだけに、みんな早起きして、ホテルに集まる。