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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

ホテリエの妻たち

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毎朝、モーニングコーヒーを飲みながら、つまみがわりに海外のホテルニュースサイトを読む。人事情報で知りあいのホテリエたちの名前が出てたりすることもあるが、その異動先が、砂漠の国だったり、灼熱の国だったり、離れ小島だったりと、過酷な条件の国の場合、それを聞いたときの奥さんの顔がつい目に浮かぶ。

 

「マイ・ディア、決まったよ」

ことさら落ち着いた表情を浮かべ(ているつもりで)ゆっくりとした足取りでやってくる(良いニュースのときは、人間、自然と早足になるものだ)ホテリエの夫。

「今度はどこなの?」

すでに察してあきらめ顔の妻。

「△◯だ」

深い、ふかーい、ため息をつく二人…。

 

おそらくこんなシーンが展開されているのだろうな、と思う。

 

ヒルトンの場合など、かつてGM(総支配人)はリブイン(勤務するホテル内に住むこと)がふつうだったので、家族はほんとうに大変だった。常にスタッフたちの目にさらされるのに加え、何かあるとすぐに飛んでいく夫は24時間勤務状態。気のやすまる時がない。

一度、韓国の慶州ヒルトンで、GM夫妻がレストランで食事中、スタッフに何度も呼ばれては離席する夫に怒った妻が、ナプキンをテーブルに叩きつけて立ち去り、夫であるGMがあたふたと後を追いかける姿を目撃したことがあるが、いやあ、スゴかった。

 

余談だが、今度「アマン東京」のGMになったマーク・ハンデル氏も、父親が東京ヒルトン(現ザ・キャピトルホテル東急の前々身のホテル)のGM時代、リブインしていた東京ヒルトンで暮らし、ロビーを走り回ってはスタッフによく叱られていたそうだ。

 

アマンダリのGMを夫婦で長く務めたヘンリー&チャー・グレイ夫妻の場合、ゼッカーがアマンを追われてマーハリゾートを起ちあげたときアマンを辞め、メキシコの人里離れた山岳リゾート「マハクア」のGMに。

オープン間もない頃に訪れて再会したとき、「次は、砂漠か南極あたりかなぁ」と冗談で言ったら、ヘンリー「やめてくれ!」悲痛な叫び声をあげた。妻のチャーは「ま、ないとは言えないわね」とあきらめ顔。結局、この後ふたりは、灼熱のインドへ。

一昨年、ようやくヘンリーの故郷イギリスのスコットランドに戻り、元マナーハウスを改装したホテル「ヘックフィールド・プレイス」のGMとして開業準備中。思えば、ヘンリーも、25才でイギリスを出てから、ブリティッシュ・ヴァージンアイランド→カナダ→バリ島→メキシコ→インド→ギリシャ→イギリスと転戦を重ねてきた。

ホテリエ人生、つくづく好きでないともたない。

ホテリエの妻も、そんな夫がよっぽど好きでないと、もちません。