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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

1980年代「アイビーハウス」のカレーと青春

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パレスホテル東京が建て替えられる前の旧パレスホテル時代、地下2階のバー「IVY HOUSE アイビーハウス」はランチタイムに豊富な種類のカレーを出し、カレー専門店として、知る人ぞ知る店だった。

わたしが社会人になったばかりの頃、”ホテルでランチを食べる”ということは、若者にとってはかなりの気合と勇気を要することだった。大手町の大手商社に勤めていた高校時代の男友だちとランチを食べることになり、「パレスにカレーでも食いに行くか」と初めて連れていかれたときは、とぼしいお財布の中身だけで足りるだろうかと不安になったものだった。

旧パレスホテルの地下2階に降りていくと、まず、ずらりと並んだ入店待ちの行列にびっくり。ほとんどがワイシャツ姿のサラリーマンだった。

そして、次に驚き、いたく感激したのが、10種類くらいの薬味がずらりと並べられた薬味ワゴン。その内容は、福神漬、らっきょう、レーズン、茎ワカメ、もやしのナムル、チーズ、缶詰のパイナップルかミカン、スイートコーンといった、まあ、いま思えばたいしたものではなかったのだが、これだけワゴンに並ぶと壮観で、とにかく目で見ているだけで心浮き立ち、楽しかった。食べ盛りだった男友だちはカレーを食べ終えた後で、物慣れたようすでごはんをお代わりし、薬味をおかずにぺろりと大盛りごはんを平らげた。正直に書くと、やはり食べ盛りだった私も真似をしてお代わりし、ぺろりと平らげた…。

後に友だちの上司から聞いたところによると、この会社では新入社員が入ると、先輩がアイビーハウスにカレーを食べに連れて行くのが暗黙の慣例になっているそうで、”昼のバーでランチを食べるという、ホテルの使い方”を教えていたが、ちょうどこの頃から時代はバブルへまっしぐら。数年後には新入社員を連れて行っても、「ああ、ココ、大学時代からカレー食べによく来てますよ。クリスマスパーティーはオークラだったなぁ」などと言われるようになったそうだ。

 

このカレーがレトルトカレーとして復刻したのだが、開けてみて、食べてみてビックリ!

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 それはボリューム。「和牛ビーフカレー」2,400円はたっぷり3〜4皿分はあり、なにより大きなお肉がゴロゴロ、ゴロゴロ(と繰り返すほどたくさん)入っている。炒めタマネギの甘みが出たタイプのカレーで、甘口タイプ(実はアイビーハウスのカレーの味はまったく覚えていない。くっきりと覚えているのは薬味だけ…)。

「チキンカレー」2,100円もある(まだ食べてないのでわかりません)。

 

*上の2点の写真はパレスホテル東京のホームページからお借りしました。