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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

NY「プラザホテル」ペントハウスの住人とは

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ニューヨーク、セントラルパークと五番街の角に建つ「プラザホテル」の住人として、もっとも有名なのは、おそらくこの少女だろう。

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「わたしはエロイーズ。6才よ」

このシンプルにして有名なセリフで知られる、半世紀前に出版された絵本「エロイーズ」の主人公については、以前にも本ブログで書いた。

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史上最高のホテルの楽しみ上手は、

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 この少女にはかなわないまでも、とりあえずは名前の知られたファッションデザイナーのトミー・ヒルフィガー。

彼はニューヨークの「プラザホテル」の18〜19階にデュープレックスタイプ・4ベッドルーム、セントラルパークを見おろすプライベートテラス付きのペントハウスを所有していたが、これを売却することに決めた、という記事が11月2日付のウォールストリート・ジャーナルに出ていた。

売値は5890万ドル(約60億円)。2013年に8000万ドルで値がついたときよりも28%安で、数ヶ月前には6895万ドルで出したが売れず、さらに値下げしたらしい。もっとも2008年の購入時には2550万ドルだったので、資産価値は倍になったとも言える。

トミーがこのペントハウスの売却を決めた理由とは、彼いわく「コネチカットグリニッジにある家や、マイアミにいくつかある家、それとカリブにある家で過ごす時間の方が長いんでね」。

この「コネチカットグリニッジ」とは、ニューヨーカーたちにとってはアッパーイーストに並ぶ高級住宅街で数十億円の豪邸もざら。

そんな人々が住みたいとペントハウスを購入する、強いブランド力が「プラザホテル」には、かつて、あった。

と過去形なのは、最近、マンハッタンには最新の快適な設備をそなえた超高級コンドミニアムが続々と出来ており、そちらの新しい方を選ぶ若い人たちが増えているため。

あ、そうそう、前にも書きましたけど、このホテル、一時トランプが所有し、娘イヴァンカの母である元妻イヴァナが総支配人してたこともある(わたしが泊まったのは、ちょうどその時)。

 プラザホテルといっても、いまの若い世代にとっては何の感慨もわかない古いホテルだろうが、60代以上の元企業戦士で、自分で思うに ”けっこうイケてた(出世街道にのってた)”感のあった元エリートおじさんたちにとっては、特別のホテルである。

その理由は、「プラザ合意」とホテル名をつけて呼ばれる、歴史のターニングポイントとなった会議が行われた場所だから。

1985年9月 22日、G5(先進5ヵ国蔵相・中央銀行総裁会議 )でドル高是正のための合意がなされ、この後、円高が急激に進んだ。

まあ、このおかげでわたしも若くして気軽に海外旅行にじゃんじゃん出かけ、身分不相応な一流ホテルを泊まり歩くことができたわけですけど。