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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

韓国大統領スキャンダルとサムスン長女離婚劇との関係

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お隣の韓国ではただいま大統領のスキャンダルで国をあげて大荒れ中だが、一方、韓国経済を支えるサムスン・グループもただいま視界不良の大嵐の中を艱難辛苦の航海中。

そのサムスン傘下のホテルが、韓国を代表するホテル「ソウル新羅ホテル」である。

実はこのホテル、朴槿恵(パク・クネ)大統領とも縁がある。

彼女の父親である故 朴正煕元大統領 ↓

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が「漢江の奇跡」をタッグマッチを組んで敢行した朋友、サムスン・グループ創始者の李秉喆(イ・ビョンチョル)氏 ↓

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を後押しして(大いに便宜をはかって)作らせたホテルである。ホテルの迎賓館は朴正煕元大統領時代には国家迎賓館としてつかわれていた。

余談だが、このホテルの敷地は元「博文寺」↓ があったところ。

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「博文寺」という名前の由来は、韓国で暗殺された伊藤博文の菩提を弔うために建てられたお寺、という、まあ日韓関係においてはかなりややこしい事情のところであるが、このことは地元韓国では意外に知られていない。

 

さて、「ホテル新羅」の社長は、サムスン・グループ二代目のイ・ゴニ会長の長女イ・ブジン(李富真)氏 ↓ であるが、

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彼女については本コラムでも、

 

お姫さまは女ホテリエ

 

にて書いたように、フォーブス誌の「長者番付」で韓国で18番目のお金持ちで女性ではトップ、韓国で最もお金持ちの女性として知られている。

で、もうひとつ、韓国国民の間でよく知られているのが、”お姫様は平民を選んだ”と美談で語られる婿選び。

サムスン電子関係の会社につとめていた庶民の出だが、いちおうアメリカ留学もした(実はハクをつけるため無理やり英語もできないのに留学させられたことが判明)平社員と会社のボランティア活動で知り合って恋に落ち、必死の説得でなんとか結婚にこぎつけた…と言われてきた。

が、「姫と平民の婿」の美しいラブストーリーはすべてウソだった…というか、天下のサムスンの広報サイドがなんとかまったくのウソにならない程度に編み出した「物語」だったことが、今回の離婚騒動で明らかになった。

これまで公の場では夫としてふるまっていた…というより、そこにただいてくれればいいから、とイ・ブジンの隣の「夫のポジション」に立ったり座ったりしていた(最近では隣に座るのもイ・ブジンはイヤだったようで、妹夫婦を間にはさんで座っていた)この”平民の婿”、実は会長の元ガードマンで、それがきっかけでイ・ブジンと知り合い、つきあうようになったそうだ。

結婚するよう「通告」した(とても断れるような状況ではなかったと”平民の婿”はのちに語っている)のは、イ・ブジン氏の父親のイ・ゴニ氏会長とのこと。そして、息子が生まれると早々に追い出されていたことが、今回の離婚裁判で明らかになった。

これまでおとなしく言われるがままに公の場では仮面夫婦を演じ続けていた”平民の婿”が、なにをきっかけに反旗をあげようと思ったのかはわからないが、ただいま1兆ウォン(約1000億円)の財産分割請求を起こして離婚裁判中。

そのどろ沼の離婚裁判が8月に行われると言っていたが、はてどうなったのだろう?

と調べてみたら、10月20日に一審では”平民の婿”に軍配が上がったが、即、サムスン弁護団の反撃により一審判決破棄となったとのこと。訴訟の内容そのものを問う争いではなく、裁判を管轄する場所がどうのこうのといった、弁護士たちの差しで争い。

この話題、平常時だったら、韓国庶民たちのかっこうのマッコリ(韓国のお酒)のつまみになるだろうと思われるが、ただいま韓国、それどころではないので、サムスン側もさぞかしホッとしているだろう。

でも、もしかしたら、今回の大統領スキャンダル、この話題からそらすためにサムスン側が仕掛けたものだったりして…。というのは、このまま裁判やると、これまで秘されていた一族の財産や仮名資産も明らかになってしまい、本丸にも捜査のメスが入る可能性があると言われているため。

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(ソウルホテル新羅のスパ。南山を眺めながらカウンセリングして足湯)

今ごろは裏の南山の紅葉がちょうどきれいに染まりはじめるころだが、「ホテル新羅」のスタッフたちはなにを思っているのだろうか?

 

 *ソウル新羅ホテルの写真は同ホテルの公式サイトからお借りしました。