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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

人間の心は「食べた時間」でできている。

 

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パリのプチホテルの時間が流れるエントランス。

ここは、青山の根津美術館の近くにある

秋山庄太郎写真芸術館。

写真家の秋山氏のアトリエ&住まいだったところだそうだ。

3フロアに分かれた館内をゆっくり見てまわりながら

なんとなく感じたのがパリの時間と匂い。

 

どうしてだろうと思っていたら、

秋山氏は40才の頃、一時、仕事を離れ、

パリに4ヶ月ほど滞在し

自由気ままに過ごし、晩年こう語ったそうだ。

「パリでの4か月が、今までの人生で一番楽しかった」

 

人間の体は食べたものでできているが、

人間の心は、

経験したこと、出会った人々との交わり、

訪れたところで吸った空気や匂い、

目にしたもの、耳にしたもので、触れたもの

言いかえると

「食べた時間」でできている。

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その日、帰途に寄ったのが

わたしが二十代、三十代の若き日々、

しばしば訪れた

表参道の交差点にある「青山アンデルセン」。

 

かつてこの界隈に住んでいたときは

週末の朝、ここの2階で交差点を見下ろしながら

焼きたてのパンとオムレツの朝食

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を食べるのが楽しみだったことは

以前、本ブログでも書いた。

  ↓

chifumimurase.hateblo.jp

そんなわたしの青春時代の思い出の店だったが

来月、7月末で閉店するそうだ。

東京オリンピックを見すえた再開発のため

ビルそのものが壊されてなくなる。

お店は消えてなくなるが、

ここでわたしが「食べた時間」は

わたしの心の中に

血となり肉となって生きている。