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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

「また今度」はないから、「いつか」はいつまでも来ないから

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登っていく坂の上の青い天に、もし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて、坂を登ってゆくでろう。(司馬遼太郎坂の上の雲」より抜粋)

 

急坂を抜けるとそこは天国であった。

鎌倉ではそんなシーンによく出会う。

 

極楽寺から七里ヶ浜に抜けるには

海岸沿いに行くルートと

山を越えて行くルートがあるが

この日は山編。

長い長い長い長い階段と

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昼間でも暗いケモノ道のような山道を行く。

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ゼイゼイ ハァハァ

息が切れそうになりながら

ようやらやっと山を登りきったと思ったら

そこに待ち受けているのは

ジグザグ歩行が必要なほど急な下り坂だったりする。

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こうなると、人間、無心になる。

ただ、ただ、坂を上り、下り、

そして、へたった。

 

何故、こんなことをしてるのかというと、

先日、本ブログで書いたレストランに行くため。

chifumimurase.hateblo.jp

【晴れている日、ランチにまた来よう。 】

そう書いたレストランのことが

あの日からずっと

気になって気になって気になって仕方なく、

辛抱たまらなくなって、ランチに行くことにしたのだ。

 

子供の頃に学んだことのひとつが

「また今度」はもうないということ、

「いつか」は待ってるだけではいつまでも来ないこと。

 

そこで再びやって来ました「Taverna RONDINO」!

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 テラス席を予約したが雨のため二階席へ案内された。

窓の向こうは海。荒れてます。

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そう、「晴れた日」まで待てなかったのだ。

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 イタリアン・マティーニアマレットの香りが

疲労困ぱいのからだを癒してくれる。

 

隣のテーブルではふた組のシニア夫婦がお食事中。

いわゆる団塊の世代で、早慶あたりを出て、

日本中が坂の上の雲を見上げて坂を上っていた高度成長期に商社マンをやり

まことにいい時代に海外駐在員も経験しました、

といった感じの夫たちは、彼らの定番ファッションである

オレンジ、パープルなど会社員時代には着られなかった

派手め系のカラーシャツにチノパン姿。

靴はこれも彼らの定番の皮のウォーキングシューズだ。

 

「ヨーロッパ行くなら、カタール航空が良かったんだけどねぇ・・・」

「サウジのカタールとの国交断絶だが、実はあれはトランプがね・・・」

「トランプといえば、娘のイヴァンカはね・・・」

「イヴァンカの旦那って中国とかなり関係が・・・」

話題は、リアイア後しばしば出かけている海外旅行の裏技ネタとか

国際政治経済ネタ(好きです、オジサンたち、この類のネタ)、

そして、AKB48(もうちょっと古いんだけれど)の芸能ネタなど

守備範囲は実に広いのだが、

とにかくあらゆる話題に参加してくる、

スキあらば自分の知識を披露しようと割って入るのが

この手のオジサンたちの特徴なので、

なかなか一貫したテーマのまとまった会話にはならない。

 

 が、しかし、

「こないだ、あそこ行って来たよ」と人に誇らしげに語れるような

予約が取りにくいので有名な鎌倉の眺めのいいレストランに

わざわざ東京から出かけて行ってランチした、という事実と

自分の豊富な知識と仕入れたネタを思う存分たっぷりがっつり「語れた」、

というそのことが重要なのだ。

料理も眺めも三の次、四の次、もしくは、関係ない。

 

人生、上り坂もあれば、下り坂もある。

そして、いつが山の頂点なのか、その時はわからない。

でも、一つだけ確実なことは、

「また今度」「いつか」は

自分で作らないければ決して来ないということ。