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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

ゴーン会見を見て思いだした人

f:id:chifumimurase:20200109100618p:plainレバノンの首都ベイルートの「アルベルゴ・ホテル」。いつか泊まってみたいホテルのひとつです。

さて、

莫大なカネを持ち、それゆえカネの力で動かせる人や事も多く、一見やりたい放題。

けれど、ないものがある。

それは、好きなところに行く自由。

ゴーン会見を見ながら思い出したのは、故マーク・リッチ氏のこと。

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(2013年6月26日、死去を報じるニューヨークタイムズ紙の記事)

フォーブス誌によると、2006年の個人資産所有額は約15億ドル(約1335億円)の富豪。

貴金属取引のメタル・ディーラーとして名をなしたのち、アメリカが経済制裁していたイランとの間で当時の石油業界を揺るがすような莫大な取引を行い巨大な財を築きあげたが、詐欺・脱税等でFBIの「10大重要指名手配犯リスト」にのり、スイスに逃亡。

巨額な資金をバックに強力な弁護団を組み、最終的には司法取引にもちこんだが、アメリカに帰国すると余罪(刑期合計300年)で逮捕されるのは確実だったため、生涯アメリカには戻れなかった。

以前、本ブログでも関連記事を書いたことがあるが、アマンリゾーツのオーナー、ドローニン氏が若き日に師事したお方でもある。 ↓

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マーク・リッチ氏は、身柄の引き渡しを要求するアメリカ政府とスイス政府との攻防がつづくなか、友好的なメディアのみを招待し、管理された記者会見を行った。

一時は国民的英雄の扱いを受けたという。

カネの力で心地よく守られたツークの「黄金の檻」で暮らしていたが、

「うなるほどの金があっても、スイスからは一歩も出られなかった。彼らをひそかにアメリカに引き渡すことをいとわない、どこかの政府によって身柄を拘束される危険があったからだ。(中略)彼ら自身が合衆国との取引に使える政治的商品になっていたからだ」(新潮文庫「メタル・トレーダー」より)

ニューヨーク暮らしが長かったキャロル夫人、がまんできるだろうか?

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